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 (火・水・金曜 9時〜16時)
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同窓会特別講座

法政大学経済学部同窓会創立20周年記念シンポジウム
−グローバル経済危機と日本の再生−

河村哲二 教授/粕谷信次 名誉教授
 経済学部同窓会創立20周年記念事業のメインイベントの一つとして、2011年11月13日の12時から法政大学の外濠校舎3階の教室で、経済学部の先生方による「グローバル経済危機と日本の再生」と題するシンポジウムが行われました。ここでは、出席できなかったにみなさんのために、2つの基調報告の要旨を紹介します。

シンポジウムの様子

基調報告1
「『日本の二重の危機』からの再生とその課題」河村 哲二

 日本は、今、大震災・津波被災と原発危機という「二重の危機」にある。「百年に一度」のグローバル金融危機・経済危機の影響から脱しきれないまま、「千年に一度」の東日本大震災・津波被災と原発危機に見舞われた。この間、企業・金融・情報グローバル化と政府機能の新自由主義的転換を主要経路とするグローバル資本主義化のダイナミズムによって、世界の社会経済的な変容を促しながら、アメリカ−BRICsなど新興経済を軸とする世界的な経済成長の仕組みである「グローバル成長連関」が出現し、世界的な経済成長が加速された。しかし、アメリカのサブプライム問題に端を発し、2008年秋からとみに深刻化した金融破綻によって、そうした世界的成長の仕組みそのものが破綻した。それが日本経済を直撃し、地方経済にも大きな打撃を与えた。日本もこの間の経済グローバル化のなかで、「グローバル・シティ」東京・首都圏への「一極集中」の加速と、その一方で、地方の疲弊――過疎化・高齢化、産業空洞化や「シャッター商店街」・「限界集落」など――、社会経済的な大きな変容が進んでいた。そうした社会経済的変容は、今回の東北を中心とする大津波被災による壊滅的な打撃や原発危機による影響をより深刻なものとしている。東京・首都圏電力の重要部分を担ってきた福島原発の危機は、電力不足と広範囲の放射能汚染を引き起こし、多数の人びとの避難や農産物の出荷規制が、地域に深刻な問題を突きつけている。
 被災地の暮らしの一刻も早い復興には、国レベルの迅速な対応や外からの幅広い支援が不可欠であるが、「二重の危機」のもと、日本の中央政府機能の限界が露わとなっている。政府の財源難は深刻である。バブル崩壊後の「失われた20年」とグローバル金融危機・経済危機の打撃のなか、膨大に累増した財政赤字と国家債務の累積という大きな重荷を背負っている。そのもとで、東京・首都圏への一極集中と地方の疲弊問題の解決や、これからのエネルギー政策のあり方、成長戦略そのものの見直し、さらには、明治近代化以来の中央集権的な国家システムのあり方そのものの根本的な再構築など、日本は、近年最大の国家的課題に直面している。しかし、政治中枢は混乱を続け、膨大な瓦礫の処理もままならず、まして復興の構想も定かではない。原発危機も確固とした終息の道筋は見えず、広範囲にわたる放射能汚染地域の除染問題も明かではなく、地域再建の方向も見えない。
 グローバル化のインパクトのもとで、「二重の危機」から脱して日本の社会経済・国家システムを再構築し、持続可能な未来を築くのか? いまや、なによりも、長い歴史と伝統のなかで培われてきた多様で豊かな地域固有の力を本当に生かした復興と再生が強く求められている。とりわけ、地理的・自然的条件のなか、歴史の風雪に耐えてきた「衣・食・住・職(生業)・文化」がセットとなった生活圏と生活価値の体系の「よいもの」を核とし、グローバルに開かれた形でその実現を図るシステムを組み上げなければならない。そうした再生への課題は、実際には、日本だけにとどまる問題ではない。同じくグローバリゼーションのインパクトのもとで、金融危機・経済危機や環境問題の深刻化、国際紛争の激化など、社会経済システムの危機に直面する世界にも共通する普遍的な課題である。そうした方向こそ、この間、グローバル化のなかで大きく毀損されているアジアやその他の地域の社会経済とコミュニティの再生に向け、日本が、その固有の社会経済的歴史と風土に根差して、グローバルに発信すべき持続可能な未来への提起となるものである。(要旨)

河村 哲二(かわむら てつじ)

1951年6月 群馬県生まれ
1975年 東京大学経済学部卒業
1980年 東京大学大学院経済学研究科博士課程単位修得。経済学博士(東京大学)
University of Massachusettes(Amherst)・Visiting Adjunct Professor (Fulbright program, 1983-85)
帝京大学経済学部教授、武蔵大学経済学部教授(2001-03年度武蔵大学総合研究所所長)を経て、2004年4月より法政大学経済学部教授(2009-10年度大学院経済学研究科長)
専攻・アメリカ経済論、グローバル経済論、理論経済学

主な研究業
Hybrid Factories in the United States under the Global Economy, Oxford University Press, 2011(編著)

単著
『パックス・アメリカーナの形成』(1995年、東洋経済新報社)
『第二次大戦期アメリカ戦時経済の研究』(1998年、御茶の水書房)
『現代アメリカ経済』(2003年、有斐閣)
その他、共著・編著書、関連論文多数

基調報告2
「民主党政権とグローバル経済危機下の日本の再生」粕谷 信次

 2009年9月、民主党は、「暮しのための政治を」マニュフェストに掲げ、政権交代を果たした。その背景には、「新自由主義的グローバリゼーション」の帰結としての、「百年に一度の金融・経済危機」、「社会的統合の危機」、「大地との共生の危機」がある。しかしマニュフェストは実現を阻まれた。
(1)政治主導→(内閣入りした)政治家主導(結局官僚依存となり、従来のパラダイムを出られず)
(2)「国民の暮しが第一」→財源不足、バラマキ批判(現状維持的財務官僚主導)
(3)「成長戦略」がないという批判→「新経済成長戦略」:第二の開国(TPP)、強い経済、原発推進、原発輸出を第二の開国戦略のひとつに(経産官僚主導)
 「これでは、「小泉構造改革に逆戻り」。参院選大敗北。
 ここで、3.11「東日本大震災・大津波・福島原発事故」
 梅原 猛「東日本大震災復興構想会議」名誉議長はいう、「原発を使って、人間の生活を豊かにし、そして便利にさせる。そういう文明がまさに今、裁かれている」と。
 思うに、反省のキーワードは次の二つ。
「脱原発」:政府は、この期に及んでも、点検後の原発の早期再稼動、原発輸出の推進をいう。
「脱成長」:「新経済成長戦略」で、すでに明らかであったが、2年目の『経済財政白書』で、「TPP」推進はより明確に。新自由主義へ回帰を強める。
・新代表、新首相選びも未来構想なしの権力争いのみ。政権交代とは何であったか。
 どうしたら持続可能な21世紀社会経済システムづくりが可能か。
 今までの資本主義の発展は、「大地」を単なる「空間的資源」の一つに変え、「人と人」の関係も「カネとサービス」の遣り取りに変えてきた。しかし、「大地」は、人びとの命と魂が、循環し、応答するところである。また、「人と人」の関係も、「市場」(カネ)と「国家」(官的行政)とによっては取り込むことの難しい、多様で、多面的な広さと深さをもつ。  最近とみに注目され、私たちも提起しているのが、「大地との共生」関係や、人と人との様々な絆・連帯(親密圏、友愛・アソシエーション、コミュニティ、…)、いわば、「狭義の社会」を資源(「ソーシャル・キャピタル」)として成り立つ「社会的・連帯経済」である。馴染みの言葉をつかえば、アソシエーション・NPO、協同組合、共済、財団、そして、未だ日本では法制化されていないが、それらの要素を包摂したような、多面的目的、多様な資源、多様な関係者からなる(狭義)社会的企業などである。
 われわれは、この「社会的・連帯経済」セクターを広げ、層を厚くしつつ、三つのニュー・ニューディール(NND)を持続可能な21世紀社会経済システムづくりのために、「被災地特区」で直ちに、そして、それを全国的規模で展開することを提起する。
1.「社会的包摂/完全就労」づくりNND。
2.「食/農/エネルギー/水の循環型社会」づくり日本版グリーンND。
3.以上を推進するための、「地域循環型金融」づくりNND。
 いま、新興国の成長が著しいが、彼らは、もはや20世紀型成長の後追いの余裕はない。地域的、歴史的特性によって多様であろうが、上記のような持続可能な21世紀社会経済システムへ収斂せざるを得まい。そのためには、ローカル・コミュニティだけでは満たしえないものを、より広いコミュニティが「補完原則」に則って支援する、「人びとのつくる公共性」の<ローカル−ナショナル−グローバル>な重層的連携を必要とする。(要旨)

粕谷 信次(かすや のぶじ)

1940年 東京に生まれる
1969年 東京大学大学院経済学研究科博士課程満期退学
同年 法政大学経済学部助手 以後、同専任講師、同助教授、同教授
2011年 同定年退職、名誉教授

主著
『マルクスと現代思想 社会観の選択』(共著)(社会評論社、1987年)
『東アジア工業化ダイナミズム』(編著)(法政大学出版局、1997年)
『社会的企業が拓く市民的公共性の新次元』時潮社(初版2006年、増補改訂版2009年)