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法政大学経済学部同窓会同窓会特別講座>所得格差・教育格差(所得分配、教育と社会層)
同窓会特別講座

所得格差・教育格差(所得分配、教育と社会層)
牧野文夫 教授
著書『中国経済の転換点』  所得不平等の拡大が社会的に大きな問題となっているが、これと教育との関連も近年大きな関心が払われるようになった。もしも所得格差が何らかの形で教育格差の原因となっているのであれば、それは現在における格差を世代を超えて固定させる原因となるであろうから、社会にとって非常に由々しき問題となることは明らかである。
 この問題については早くから社会階層を研究している社会学者を中心に研究が進んでいるが 、他方経済学者の側からは所得格差と消費支出の問題についてこれまでいくつかの研究がある 。今回の報告では、総務省が調査・公表している「家計調査」を利用して、所得格差と教育に関するいくつかの問題を分析課題として取り上げる。またそれに関連し、東京都が毎年実施している学力試験の成績の地域格差と所得の格差の問題を取り上げた。
 エンジェル係数(教育支出額の消費支出額全体に占める割合)は、高度成長末期の1960年代後半から上昇傾向が続いている。
 勤労者世帯では所得水準が高まるにつれてエンジェル係数と教育仕送り費は上昇する。また教育支出は消費項目の中でも特に不平等度が高い費目である。東京都が毎年実施している学力試験の結果によると、所得水準、ホワイトカラー比率の高い地域ほどより高い成績を挙げている。
 以上分析したように、現在では所得水準が高等教育への進学あるいは学力にかなりの影響を与えている。そうなれば高所得世帯の子供にはより多くの教育支出がなされ、その結果として、より高い教育を受けらあるいは社会的に権威のある大学に進むことができ、さらには高収入あるいは社会的評価の高い職業を選ぶことができる。そしてその子供にもそれが繰り返される。
 所得と教育の格差が再生産され社会階層の固定化が一層進むのである。根本的には所得格差を縮小させる必要があるのだがそれは簡単ではない。とりあえずはOECD諸国の中で平均より低い公的教育比率を引き上げることが必要ではないか。また東京都の分析で明らかになったように、必ずしも所得水準は高くないが学力試験の成績で健闘している地域がいくつかある。それらの地域についてのさらなる研究の中に、所得と教育の負の連鎖を断ち切るためのヒントがあるように思える。
(この報告は、2013年10月26日に行なわれた経済学部同窓会主催の第4回公開グレードアップ講座で牧野文夫先生からいただいた「所得格差・教育格差(所得分配、教育と社会層)」と題する講演の要約である。ここに掲載するためにわざわ一筆いただいたことに、牧野先生にお礼を記しておきたい。編集部)

牧野文夫教授 牧野 文夫(まきの ふみお)

経歴
1974年 一橋大学経済学部卒
1981年 同大学大学院経済学研究科博士課程満期退学
1986年 東京学芸大学教育学部助教授
1995年 博士(経済学)取得
2008年 法政大学経済学部教授
2013年 現在経済学部長
専門 日本経済論、日本の経済発展と技術進歩、日本と中国の比較経済発展
近著 牧野他編『中国経済の転換点』2013年、東洋経済新報社 3,990円(税込)。