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法政大学経済学部同窓会同窓会特別講座>安藤至大氏(日本大学准教授)
同窓会特別講座

自著を語る
安藤至大氏 ( 日本大学准教授 )



『ミクロ経済学の第一歩』(2013)有斐閣

『ミクロ経済学の第一歩』
1、はじめに
 こんにちは。日本大学准教授の安藤至大(あんどう・むねとも)と申します。
 本日は「自著を語る」というタイトルで文章を書く機会をいただきましたので、2013年の12月に有斐閣より出版した教科書『ミクロ経済学の第一歩』について簡単にご紹介したいと思います。
 しかしその前に、簡単な自己紹介をします。
 私は法政大学第二中高から経済学部に進学し、1998年に卒業しました。経済学部では、鈴木豊教授のゼミに第一期生として参加していました。そこでゲーム理論と契約理論という研究領域に出会うことになり、大学院に進学してからも同分野の研究に取り組みました。そして大学教員として就職してからは、労働問題などにも関心を広げて、現在の専門分野は、ミクロ経済学・労働経済学・法と経済学(=法律の経済分析)となっています。

2、ミクロ経済学とは
 本書は、はじめてミクロ経済学を学ぶことになった初学者に向けて執筆したものです。いまこの文章をご覧いただいている皆さまの多くは経済学部の卒業生でしょうから、このような解説は不要かもしれません。しかし以下では、まずミクロ経済学とはどのような学問なのかを確認しておきましょう。
 ミクロ経済学は、長い歴史を持つ価格理論と1980年代以降に急速に発達したゲーム理論とに大きく分けることできます。前者は、余剰(=取引から生み出される利益)を最大限に実現することを目的として、人々が自発的な取引を行ったほうが良いのはどのようなときか、また政府が取引に介入したほうが良いのはどのようなときかといった問題を考えてきました。
 また後者は、人々が直面する戦略的状況を、ある種のゲームとして表現することにより分析するものです。ここで「ゲーム」というのは、チェスやポーカーのようなテーブルゲーム、またサッカーやテニスのようなスポーツを分析の対象とするだけではなく、人々の社会的・経済的な行動についても扱います。その際には、(1)プレイヤーは誰か、(2)誰がどのようなタイミングで行動を選択できるのか、(3)誰がどの段階で何を知っているのか、(4)各自が取りうる戦略はどのようなものか、そして(5)人々の選択に応じて結果的に実現する各自の満足度の大きさはどの程度かといった要素を特定することで、あたかもゲームのように表現するわけです。
 今回ご紹介する本書では、第1部から第3部までは価格理論について、また第4部ではゲーム理論の初歩を解説しています。

3、本書を執筆した理由
 少し大きい書店や図書館に行けば、私たちは経済学の教科書をたくさん目することができます。国内外の高名な研究者がすでに多数の教科書を出版していることを考えると、みなさんは「同じような教科書がたくさんあるのに、なぜ新しい本を書く必要があるのか?」とか「自分の講義を受ける学生に買わせて、お小遣い稼ぎをしたいからではないか?」などと思われるかもしれません。
 そこで、なぜ新しい教科書を書こうと思ったのかを説明します。
 私は大学生の頃から、経済学の授業や教科書に不満がありました。なにしろ「分かりにくい」のです。そしてなぜ分かりにくいのかといえば、説明が不十分だからです。
 例えば、ミクロ経済学の内容を学ぶ際に、右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線を描くところから話が始まることがあります。しかし「なぜ需要曲線というものを考える必要があるのか」といった前提が分からないと、初学者は何をやっているのか理解できないのです。
 もちろん教員が丁寧な説明をしてくれれば十分かもしれません。しかしすべての教員が学生の理解度に合わせた説明をしてくれるわけではないというのが実際のところです。
 それには理由があります。まず研究者になるためのトレーニングを受けてきた大学教員には、わからない学生の気持ちがわかりにくいということが考えられます。また自分が受けてきた教育と同内容のことを教えようとすることもあります。そして同時にいきなり難しい教科書を使うケースもあります。
 そこで私は、初学者がひっかかりやすいと思われるポイントや細かい前提条件を徹底的に説明した教科書を執筆することを考えました。それにより完成したのがこの教科書です。

4、経済学を学びなおす
 経済学は、なかなか難しい学問です。また入り口でつまずいてしまったひとや過度に数学的な講義を受けたひとなどの中には、経済学をキライになってしまうケースも多く見受けられます。実際のところ、私の大学時代の同級生の中にも、卒業に必要な単位を揃えた後に、「これでもう経済学を勉強しなくて良い」ことを喜んでいるひとがいました。みなさんの中にも、正直「その気持ちはよく分かる!」というかたがいらっしゃるかもしれません。
 しかし最近の教科書は、格段に進歩しています。最近、私が学生にお薦めしているのは、まず私の教科書を読んだ上で、『マンキュー経済学ミクロ編』に進み、その上で『ミクロ経済学の力』に進むというものです。これならば独学でもかなりの内容が理解できます。
 これはまた現役の学生だけではなく、多くの経済学部卒業生にも試していただきたい勉強方法です。最近の経済学はとても進化しています。学生時代の経済学アレルギーを治し、「経済学ってなかなか面白いじゃないか!」と思っていただけるひとが増えれば、こんなにうれしいことはありません。


   参考文献
   グレゴリー・マンキュー(2013)『マンキュー経済学I第3版ミクロ編』東洋経済新報社
   神取道宏(2014)『ミクロ経済学の力』日本評論社
(2015.6.16)


安藤至大氏 筆者:安藤至大(あんどう・むねとも)

 1976年東京生まれ。法政大学第二中学、同高等学校卒業。1998年法政大学経済学部卒業。2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授などを経て、現在は日本大学総合科学研究所准教授。専門は、ミクロ経済学、労働経済学、法と経済学。著書に『ミクロ経済学の第一歩』(有斐閣、2013年)、『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』(ちくま新書、2015年)などがある。