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同窓会特別講座

法政大学経済学部同窓会「自著を語る」
安藤至大(日本大学准教授)



『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』
(2015)筑摩書房


『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』
1、はじめに
 私たちの多くは、働いて得た給料で生活しています。資産家の家に生まれた場合や宝くじで大金を手にしたなどの特殊なケースを除けば、働かなければ生活できません。
 そして私たちは働く上でさまざまな知識を必要としています。例えば、仕事をこなすための直接的な知識や技能は、仕事を通じて学んだり(=OJT)、社外の教育プログラムを通じて学んだり(=Off-JT)します。
 しかし必要な知識はそれだけではありません。経済の仕組みや働き方に関する法律についても知っておくことが求められます。これらの一部については義務教育の社会科などで学んだと思われますが、覚えているでしょうか?
 というわけで突然ですが、皆さんにいくつか質問です。

問1:正社員とはどのような働き方のことを意味するでしょうか。
問2:日本型雇用とはどのような雇用形態のことでしょうか。
問3:日本企業では正社員の解雇が難しいと言われることがありますが、会社はどのようなときに社員を解雇できて、どのようなときにはできないのでしょうか。

正解はこの文章の最後に簡単に書いておきますが、このような問題にきちんと答えられる人は、じつはそれほど多くありません。学校で習ったはずのことでも、かなりの部分を忘れてしまっているからです。

2、働くことについて学ぶ意味
 私たちが車の運転をする際には、運転免許が必要です。また料理を作って客に提供するためには、施設に食品衛生責任者を置くことが求められます。これらの規制には、人々の行動が他人に与える悪影響を抑制したり、安全性に関する情報の非対称性を軽減したりするという目的があります。
 これに対して、私たちが働く上で、最低限必要となるはずの経済的・法律的な知識を試験で問われることはありません。また起業して人を雇う場合にも、特に資格試験のようなものはありません。このように知識が乏しいままで現場に出てしまって本当に良いのでしょうか?
 このような問題意識から執筆したのが、この『これだけは知っておきたい働き方の教科書』という本です。

3、本書の内容
 本書の構成は以下の通りです。まず「働き方の仕組みを知る」と題した第1章では、私たちはなぜ働くのか、またどのように働くのかといった疑問に対して、主に経済学の視点から答えます。また第2章「働き方の現在を知る」では、働き方に関する法制度や雇用慣行とはどのようなものか、またそれらがどのようにして形成されたのかを解説します。ここまでが現状の話です。
 続いて第3章の「働き方の未来を知る」では、人口減少と技術進歩という大きな二つの力によって、私たちの働き方がこれからどのように変化していくのかを考察しています。そして「いま私たちにできることを知る」というタイトルの第4章では、一人ひとりの労働者の視点から、正しい情報を持つことや変化に備えることの重要性を述べています。
 本書の内容はいずれも初歩的なものであり、読者によっては「そんなこと知っている」とか「あたりまえのことばかり書いてある」と感じられるかもしれません。
 しかしそのような人でも、おそらく部分的には「自分の知っていることとは何か違うぞ!?」と思うような記述があるはずです。例えば、長期雇用の役割や年功賃金の機能など、最近は否定的に扱われることが多い日本型雇用についての説明や、難しいと言われる正社員の解雇規制についての解説などは、テレビや雑誌などで見るものとは異なるのではないでしょうか。

4、すべての世代が持つべき知識
 これから私たちの働き方は大きく変わります。そして仮に皆さん自身はハッピーリタイアが近くても、子どもや孫の世代の働き方の変化は皆さんの生活水準に大きな影響を与えることになります。
 ご存知のように現在の日本の総人口は1億2700万人です。専門機関の予想では、これが2048年に1億人を割り込み、2060年には8674万人になるとされています。そしてこのような人口減少は、すべての世代で均等に起こるわけではありません。比較的横ばいの高齢者に比べて、15歳から64歳までの生産年齢人口は急速に減っていくことになります。そして高齢者は、現役世代が生み出すことができる商品やサービスが少なくなれば、豊かな生活を享受できないのです。
 これからの日本社会を考える上で、労働問題への知識は欠かせません。また労働基準法や労働者派遣法の改正など、最近になって「働き方改革」が急速に進められています。国民として、また有権者として改革の方向性について考えるためにも、ぜひ多くの人に本書を活用していただければと思います。

【問題の解答例】
問1:正社員とは(1)無期雇用、(2)直接雇用、(3)フルタイム雇用という三条件を満たす働き方のことです。
問2:日本型雇用とは(1)定年までの長期雇用、(2)年功賃金、(3)企業別組合の三条件を満たす雇用形態のことを指します。
問3:解雇が可能なのは、労働者が雇用契約により定められた労働力の提供を行えていない状況にあるときです。具体的には(1)懲戒解雇、(2)普通解雇、(3)整理解雇という3類型があります。反対に、労働者が契約通りに働いている場合には解雇は行えません。

(2015.7.26)


安藤至大氏 筆者:安藤至大(あんどう・むねとも)

 1976年東京生まれ。法政大学第二中学、同高等学校卒業。1998年法政大学経済学部卒業。2004年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授などを経て、現在は日本大学総合科学研究所准教授。専門は、ミクロ経済学、労働経済学、法と経済学。著書に『ミクロ経済学の第一歩』(有斐閣、2013年)、『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』(ちくま新書、2015年)などがある。