日本経済に与えるスポーツの影響一東京オリンピックに触れて一
杉本龍勇(経済学部教授)

 

日本経済に与えるスポーツの影響一東京オリンピックに触れて一

(この特別講座は、去る11月12日に法政大学経済学部創立25周年記念の「ホームカミングの集い・祝賀パーティ」の1部で行われた杉本龍勇教授の記念講演のレジュメである。実際の講演は約1時間のものであったが、その要約をここで掲載させていただいた。編集部)

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控え、スポーツの経済効果に関するニュースを良く耳にする。特に、施設建設や都市環境整備、観戦需要といったオリンピック・パラリンピック開催における直接的な経済効果に注目が集まっている。しかし、東京大会における開催予算は大きく膨れ上がり、社会問題として取り上げられている。その結果、2024年の開催都市誘致については2都市しか立候補せず、現在のオリンピック・パラリンピックの開催モデルの限界を示した。
従来のスポーツによる経済効果というと大規模公共事業のモデルと同様でハード面中心であった。しかし、スポーツはソフト面での経済効果を創出する可能性を有している。
現在の我が国では長時間労働の是正およびワークライフバランスの調整に関する施策が講じられ、余暇時間の増加とそれに伴う余暇消費の増加が期待されている。こうした状況において、余暇消費の一つとしてスポーツ実施に注目が集まっている。
世論調査によれば、成人の週1回のスポーツ実施率は40%を少し超える程度に留まっている。この反面潜在需要は大きく、これが顕在化すればスポーツ実施に関連する消費の増加が見込める。従来のスポーツ実施はコストがかからないイメージであった。しかし民間スポーツクラブやスポーツスクールの増加に伴い、スポーツサービスに対する支出が認知され、また実施のため2020年の東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控え、スポーツの経済効果に関するニュースを良く耳にする。
特に、施設建設や都市環境整備、観戦需要といったオリンピック・バラリンピック開催における直接的な経済効果に注目が集まっている。しかし、東京大会における開催予算は大きく膨れ上がり、社会問題として取り上げられている。その結果、2024年の開催都市誘致については2都市しか立候補せず、現在のオリンピック・バラリンピックの開催モデルの限界を示した。
従来のスポーツによる経済効果というと大規模公共事業のモデルと同様でハード面中心であった。しかし、スポーツはソフト面での経済効果を創出する可能性を有している。
現在の我が国では長時間労働の是正およびワークライフバランスの調整に関する施策が講じられ、余暇時間の増加とそれに伴う余暇消費の増加が期待されている。こうした状況において、余暇消費の一つとしてスポーツ実施に注目が集まっている。
世論調査によれば、成人の週1回のスポーツ実施率は40%を少し超える程度に留まっている。この反面、潜在需要は大きく、これが顕在化すればスポーツ実施に関連する消費の増加が見込める。従来のスポーツ実施はコストがかからないイメージであった。しかし民間スポーツクラブやスポーツスクールの増加に伴い、スポーツサービスに対する支出が認知され、また実施のためにファッショナブルなウェアやシューズを購入することが自然な流れとなっている。したがって、スポーツ実施率の向上がスポーツ産業規模の拡大はもちろんのこと、日本経済の成長にも貢献することが予測できる。
また現在、労働生産性の向上を目指す施策が講じられている。これに対して労働者の健康増進を促進し、企業の収益増加を目指す「健康経営」が着目されている。このマネジメント手法は、労働者の心身の健康状態や体力を企業が管理し、生産性を向上させることを目的としている。その具体策としてスポーツ実施が促進されるケースが増えてきている。
このように、スポーツ実施による間接的な経済への貢献が期待されている。

(2017.11.26)

 

 

杉本龍勇教授 杉本龍勇教授略歴

1989年、静岡県立浜松北高校卒
1994年、法政大学経済学部経済学科卒
19944月~99年3月、ドイツ・ベルリン工科大経営学部留学
2001年3月、中京大学大学院体育学研究科修士課程修了
2004年3月、同体育学研究科博士課程修了(単位取得退学)
2005年4月、浜松大学健康プロデュース学部講師就任
2009年4月、同学部准教授就任
2010年4月、法政大学経済学部准教授就任
2011年4月、同学部教授就任、現在に至る
専門は、スポーツ経済学、スポーツ経営学、陸上・フィジカルトレーニング全般