第11回公開「グレードアップ講座」開催

第11回 公開「グレードアップ講座」は去る6月11日(土)ボアソナードタワー6階606教室にて24名のご参加のもと開催されました。今回の講師は第1回目の開講にご協力いただいた河村哲二経済学部教授に再登壇いただき、[進む大統領選とアメリカの社会経済~アメリカとはどんな国か?その過去と現在~]と題してお話しいただきました。

講話の概要:「アメリカ大統領の任期は4年、間接選挙・州毎の代議員の半数を獲得した候補者が今後の党大会で指名候補者が決まる。今は予備選挙で、共和党はトランプがアメリカ第一に加え移民排斥・差別等の過激な発言で批判を浴びながら他の候補者が早々撤退する中、代議員の過半数を獲得。 民主党はクリントンが本命視されていたが既存政治イメージの強い中ようやく代議員の過半数を獲得したが民主社会主義者であるサンダースが、所得格差是正・既存政治への強烈な批判等を訴え多くの支持を得てまだ撤退せず候補にとどまっている。
このトランプ・サンダース現象の背景等を考えるとアメリカ社会が70年後半から大きく変わっている。戦後システムが崩れ、低成長下での再編と転換の時代にはいり労働環境も変わり、経済グローバル化が進むとともに中産階層が劣化し格差も拡大する。
さらにアメリカ発のグローバル金融危機・経済危機による経済の低迷で中低所得者層に対する打撃となり、最近の政治状況も共和党のネジレと現政権との対立や議会の停滞など既存政治への不信・失望で取り残された白人中間層・若年層の政治・経済の既存システムへの[怒り]があれだけの支持となって表れたと言える。泡沫候補と言われた二人に共通するのは大衆迎合のポピュリズムよりも激しい不満を掻き立てるデマゴギィいわゆる[扇動政治]との印象を持っている、とのお話です。
また歴史的にアメリカの国土形成のプロセスを見ると東部から西への広がりにつれ先住インディアンの駆逐・排除が繰り返えされ、その社会・文化を破壊し伝統社会が切り離された。アメリカの成り立ちは先住インディアンの社会・経済をベースに工業が発展し市場経済を作り都市が発展した。連邦制度も[イロコイ連邦]の政治システムが起源となっている」とのお話でした。

今回はトランプからインディアンまで幅広く大変興味深いお話をしていただきました。講座後には大勢が先生を囲んでの楽しい懇親会となりました。

(組織部会:斎藤孝夫・写真:伊藤章)