同窓会トップページへ戻る
入会のお誘い
経済学部のひろば
事業・行事案内
同窓会報より
同窓会特別講座
森嘉兵衛賞
会員短信
卒業生サービス
同窓会の案内
[同窓会からのお知らせ]同窓会からのさまざまなお知らせはここから
[リンク集]同窓会や法政大学関係のリンク集

[創立25周年記念事業]特設サイトへ
法政大学経済学部同窓会は
創立25周年を迎えました


[卒サラ・起業家インタビュー・シリーズ]へ

法政大学経済学部同窓会事務局
〒194-0298
 東京都町田市相原町4342
 電話・FAX:042-783-2550
 (火・水・金曜 9時〜16時)
法政大学経済学部同窓会森嘉兵衛賞>第13回
森嘉兵衛賞

第 13 回 (2005年) 受 賞 者
A賞阿部 弘子『株価暴落が大恐慌を引き起こしたのか 1929〜33年アメリカのドラマ』(文芸社,2003.5)
阿部弘子氏  2004年度の第13回森嘉兵衛賞は、審査委員会において阿部弘子『株価暴落が大恐慌を引き起こしたのか 1929〜33年アメリカのドラマ』と決定した。阿部氏は、本学が多摩移転を控えておこなった2部経済学部の教学改革の一つである社会人入学の第1期生であった。主婦であり子の親であった阿部氏は、2部卒業後、アメリカで日本語・日本文化の教育にたずさわり、帰国後は本学大学院経済学専攻修士課程に入学し、アメリカの恐慌史の研究をおこない、修士課程終了後さらに研究生として研究課題を深め、ついに2004年3月に本書で本学の博士(経済学)号を授与された。
 阿部氏の本学での勉学姿勢は、生涯教育の模範ともいうべきもので、48歳から2部経済学部に入学し、ついに経済学博士号を取得するにいたる長いたくましいものであった。阿部氏の研究は、粕谷教授の講評にあるように、必ずしもプロフェショナルなものとは言えない面もあるが、社会人のアメリカ大恐慌の研究として極めてユニークかつ独創的であり、森嘉兵衛先生の業績を偲ぶにふさわしい労作である。
 今年度も残念ながら、B賞の応募者はなかった。今後、A賞をふくめB賞への各位の推薦、応募をここでお願いしておきたい。

2005年3月25日

森嘉兵衛賞審査委員会
委員長 つる見_誠良
※「つる」は雨かんむりに[金鳥]
_員 増田 _寿男
飯田 __
粕谷 _信次
村串 仁三郎

著者略歴
学歴
1936年1月 東京に生まれる
1984年4月 法政大学経済学部2部社会人入学
1988年3月 同学部卒業
1993年4月 法政大学社会科学科修士課程入学社会人入学
1995年3月 同課程修了
1995年4月 同大学院にて2年間研究生
2004年3月 法政大学大学院にて博士(経済学)授与

職歴
1978年12月〜88年7月 外国人に日本語を教育
1978年8月〜89年5月 アメリカインディアナ州立大学で日本語・日本文化を教育
1989年7月〜96年8月 日本語教師養成学校で日本語教授法を指導

講評
『株価暴落が大恐慌を引き起こしたのか 1929〜33年アメリカのドラマ』  阿部弘子氏は本研究の動機について次のように述べる。「神国日本を信じて疑わなかった日本人が初めて味わった敗戦という激烈なショック」、この心の原風景に、「20年代のアメリカにあって、わが世の春が永遠に続くものと信じたアメリカ人が受けた大恐慌という強烈なパンチ」を―「その両者の衝撃にどれほどの違いがあったであろうか」と―重ね、「日本の敗戦ほどの社会的、経済的打撃を与えた大恐慌とは、いったい何であり、何ゆえに起こったのか、法政大学初の社会人入試による4年間の学部での勉強の後、私が56歳にして大学院に入ったのは、まさにそのことが学びたかったからである」と。
 そして、妻、母、職業人として生きながら十数年の研鑽の後、本論文を著書としてまとめた。その研究方法は、「大恐慌と株価の大暴落との関連」に関心の焦点を絞り、「当時の新聞・雑誌を読み込み、またデータを集めて」、当時のアメリカ社会に生きたかのように大恐慌を自らなりに再構成する、という仕方であった。そしてその結論は「ある日突然生じた株価大暴落を『アメリカ大恐慌の発火点』と位置づける」ということになった。
 指導教授である川上忠雄の影響や最近の日本経済のバブルとその破綻という現実にも誘われたであろうが、心の原風景も無縁ではあるまい。社会人としての職業生活を送りながらも、自らの心に刻印された原風景に促されて世紀の大難問に挑戦し続け、長年積み上げてきた研究成果を公刊し得る著書に纏め上げたのは、リカレント社会におけるひとつの生き方を示すものであり、今後、多くの社会人を研究に誘い、彼らを大いに奮い立たせるのに、貢献するものと信じる。
 さらにこの仕事の結果、「その時代の経済現象を生む主体である『人間達の社会心理』の分析が不可欠であることを改めて痛感する」があることを指摘する。
  

経済学部教授 粕谷 信次