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法政大学経済学部同窓会森嘉兵衛賞>第21回A賞
森嘉兵衛賞

第 21 回 (2013年) 受 賞 者
A賞西川 雅史『財政調整制度下の地方財政』(勁草書房,2011年)

第21回森嘉兵衛賞について
 森嘉兵衛賞審査委員会は、慎重に審査した結果、本年度の森嘉兵衛賞についてA賞として西川雅史『財政調整制度下の地方財政』(勁草書房,2011年)を決定した。
 西川雅史氏は、講評にもあるように、一昨年本学在任中に惜しくも逝去された黒川和美教授のもとで経済学部多摩移転後に、本学経済学部、本学大学院で学び、学究生活に入り、現在青山学院大学経済学部教授であり、研究業績から窺えるように、地方財政学の新進気鋭の学者として斯界において高く評価されている。
 この度、森嘉兵衛賞に推薦された西川雅史著『財政調整制度下の地方財政』は、地方自治体の財政上の自立と自律について、筆者がここ10年余りの間に、学会や学術雑誌に公表してきた研究成果(一部科研費採択研究を含む)を集大成した先端的研究書とし高く評価されるべき労作である。審査委員会は、西川雅史『財政調整制度下の地方財政』が、講評にあるように、森嘉兵衛賞A賞に値する優れた著作であるとして決定した。

 2013年3月末日
 森嘉兵衛賞審査委員会
 委員長:経済学部長 菊池道樹(経済学部教授)
 委員:主査・奥山利幸(経済学部教授)、後藤浩子(経済学部教授)、
 馬場敏幸(経済学部教授)、村串仁三郎(法政大学名誉教授)

著者略歴
西川雅史氏 西川 雅史(にしかわ・まさし)
青山学院大学 経済学部教授

東京都生まれ。1999年法政大学大学院卒業
専攻は公共選択論、地方財政、地域経済論
1999年郵政省郵政研究所担当研究官、2001年埼玉大学経済学部専任講師
2004年埼玉大学経済学部助教授、2008年青山学院大学経済学部准教授を経て、2011年より現職
2004年から総務省「地方分権基本問題研究会」委員、2009年から東京都税制調査会委員、2006〜2007年財務省「地方財政のあり方等に関する研究会」委員、2001年から2010年まで埼玉県開発審査会委員、2011年総務省「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会」委員、2010年から相模原市経営評価委員会委員長
その他、2010年から中小企業診断士試験委員、2007年日本経済団体連合会「道州制検討委員会タスクフォース」メンバー、2009年政策投資銀行「地域活性化研究会」委員など
2001年に国土交通省非常勤研究官、2005年〜2010年国土交通省研修所にて財政学の講師を務める

主要研究業績
著書『財政調整制度下の地方財政』(勁草書房,2011年)

主要論文
「住民投票で賛成派は勝てるのか」、日本計画行政学会『計画行政』第22巻3号、1999年(2000年度日本計画行政学会・奨励賞受賞)
「税源移譲に関する一考察」、日本計画行政学会『計画行政』第29巻4号、2005年(2006年度日本計画行政学会・論文賞受賞)
「徴税の費用対効果、」納税協会連合会『第2回税に関する論文−入選論集』1-31、2006年(2006年度納税協会連合会・優秀賞受賞)
「面積制約下の市町村合併」、細野助博編著『新しい地方行政におけるガバナンスの研 究〜多摩地域を事例として〜』、中央大学政策文化綜合研究所、2012年、所収
「市町村合併が与える財政的影響:規模の効果」、林宣嗣+21世紀政策研究所監修『地域再生戦略と道州制』、21世紀政策研究所2009年、所収
 その他論文多数。

財政調整制度下の地方財政 講評
 『財政調整制度下の地方財政』(勁草書房,2011年)の著者西川雅史氏は、一昨年本学在任中に惜しくも逝去された黒川和美教授のもとで経済学部多摩移転後に、本学経済学部、本学大学院で学び、現在青山学院経済学部教授であり、本学出身の新進気鋭の若手地方財政学者である。
 地方財政については、人口構成や産業構造、住民・企業等の所得水準が市区町村ごとに異なり、そのために教育や社会保障、都市計画や産業振興策、ゴミ・廃棄物処理や行政サービスといった財政需要(歳出側の項目内容・規模)も、固定資産税や住民税を中心とした財政力(歳入側の項目別規模と総額)も、市区町村上で一様ではない中で、悪化の一途を辿る国の財政状況から地方交付金削減の流れを受け、地方自治体の歳入・歳出両面における自立と自律が問題となっています。
 西川雅史著『財政調整制度下の地方財政』は、地方自治体の財政上の自立と自律について、筆者がここ 10年余りの間に、学会や学術雑誌に公表してきた研究成果(一部科研費採択研究を含む)を集大成した先端的研究書と言えます。
 本書は、地方交付税制度を所与としたときの歳入確保インセンティブや国民健康保険における徴収方式(税として徴収するか、保険料として徴収するか)の選択、固定資産税における超過課税やその選択と都市計画税課税の選択、市町村合併のインセンティブと効果を、3,000以上にも及ぶすべての市区町村を対象に、1975年度から 2001年度までの四半世紀にも及ぶデータを用意した上で、実務上の手続きや市区町村間の歴史的・地理的関係にも検討を加えた緻密で繊細、多角的かつ包括的な分析を提供しています。
 その上で、地方交付税制度のあり方について、財政中立の下で地方自治体間の財政格差を縮小させる留保財源率の大きさとスキームを提言するという構成になっており、地方財政の研究者のみならず、地方自治体や地方交付税制度にかかわる政治家や実務家、そして、日本の国民であり、しかも地域住民でもある我々も、多くのことを学び、考えさせられる必携・必読の著作と言えます。
 本書は、森嘉兵衛賞A賞に値する優れた労作であると評することができる。(法政大学経済学部教授 奥山 利幸)