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法政大学経済学部同窓会>森嘉兵衛賞>第26回A賞
■第26回森嘉兵衛賞について 森嘉兵衛賞審査委員会は、今年度に応募があった大平佳男『日本の再生可能エネルギー政策の経済分析』(八朔社、2016年、3000円)について慎重に審査した。 大平佳男『日本の再生可能エネルギー政策の経済分析』は、地球温暖化、原子力発電の危険性、2011年の原子力発電所の破壊という重大な事態の中で、安全な再生可能なエネルギーの在り方について、実証的かつ理論的に研究した優れた労作である。 森嘉兵衛賞審査委員会は、大平佳男『日本の再生可能エネルギー政策の経済分析』を本年度の森嘉兵衛賞のA賞とすることを決定した。 2018年3月末日
■講評:大平佳男『日本の再生可能エネルギー政策の経済分析』について ー村串仁三郎(法政大学名誉教授ー 本書の構成は以下の通りである。 はじめに 第1章 再生可能エネルギー政策及び電気事業を通じた福島県の再生に向けた問題提起 第2章 日本のエネルギー政策と経済学的位置づけ 第3章 電力自由化の下での非再生可能エネルギーと再生可能エネルギーの生産活動の変化 第4章 部分独占を伴う電力市場での再生可能エネルギー政策と価格差別に関する理論分析 第5章 日本におけるRPS 制度と太陽光FIT 制度に関する比較分析 第6章 福島の復興と再生可能エネルギー 終章 福島の復興に向けた再検討 本書は、書名からも明らかなように、地球温暖化、原子力発電の危険性、特に2011年に東北地震による原子力発電所の破壊という重大な事態の中で、一躍注目され始めた安全な再生可能エネルギー(化石燃料、原子力以外のエネルギー源、太陽光、風力、水力、バイオ)問題について検討したものである。 本書は、内容的には、第1に、福島県による災害復興の柱として再生可能エネルギーの試み、再生可能エネルギーの研究拠点の設置、再生可能エネルギー関連産業の集積を支援などの福島県の方針、具体的には「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」を論じ、アクションプランとしての地域主義,産業集積,復興の三つの政策を検討する。 第2に、福島県による災害復興の柱として再生可能エネルギーの試みとわが国の再生可能エネルギー問題の実績を環境経済学の立場から理論的に検討しつつ、再生可能エネルギーの理論の構築を試みたものである。 本書は、今日日本だけでなく世界的範囲における人類が抱えるエネルギーのあり方に経済学が果たすべき役割を示した労作である。 また本書は、これまでの森嘉兵衛賞応募作品の中でも、森嘉兵衛賞にふさわしい傑出した著書であると指摘できる。森嘉兵衛先生が地域史研究の権威であったことを想起すれば、本書は、福島原子力発電所の事故の起きたまさに福島県の出身者による著作であり、事故後の福島における再生可能エネルギーを軸として再生しようとする試みを、最新の環境経済学理論に裏付けて論じ、森嘉兵衛賞A賞とB書をかね備えた特別な、また経済学部同窓会創立25周年を記念する年にふさわしい著書である。 森嘉兵衛賞審査委員会は、本書が森嘉兵衛賞A賞にふさわしいと評価する。 ちなみに本書の著者は、法政大学経済学部出身者の本学経済学部助教であることを付記しておきたい。 村串仁三郎(法政大学名誉教授)
■著者略歴:大平佳男氏 学歴 1999年3月 福島県立磐城高等学校普通科 卒業 1999年4月 法政大学経済学部経済学科 入学(2003年3月卒業) 2003年4月 法政大学大学院社会科学研究科経済学専攻修士課程 入学(2005年3月修了) 2005年4月 法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程 入学 2013年3月 法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程 満了 2015年3月 法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程 修了 博士(経済学)取得 職歴 2012年7月 福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員(~2016年3月) 2016年4月 法政大学経済学部助教(現在に至る) 2016年9月 福島県立テクノアカデミー郡山非常勤講師(経済論) (現在に至る) その他 研究論文については省略 2011年6月 公益事業学会奨励賞(論文) 受賞 |