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法政大学経済学部同窓会>森嘉兵衛賞>第16回
A賞の東條勝洋氏は、1996年3月法政大学経済学部経済学科卒のOBで、1998年3月、早稲田大学大学院経済学研究科修了後、同年4月信濃毎日新聞社に入社し、以後地方紙のジャーナリストとして活躍してこられた。今回受賞された『木曾・王滝「官」の村から』は、信濃毎日新聞2006年1月15日号〜9月29日号に51回にわたって連載されたルポルタージュで、信濃毎日新聞社編集局(編)『民が立つ』(信濃毎日新聞社,2007年発行)に所収されたものである。 内容は、現在のわが国で最も重視されている社会的問題の一つである地域格差や市町村財政の破綻とその背景を、木曾・王滝村に即して活き活きと描いたものであり、地理学・社会学・文化人類学等で言う参与観察の手法と丹念な文献資料の掘り起こしを踏まえたもので、発表媒体のゆえに学術論文の形式をとってはいないが、学術的手法に十分裏付けられた労作である。委員会は、本論文がA賞にふさわしいと判定した。 B賞の小野崎敏氏は、1934年栃木県足尾生まれで、1957年都立大学工学部を卒業後、同年に日鉄鉱業入社し、爾来鉱業経営に勤しんできた経営者であり、経営業務の傍ら、趣味として鉱山に限らず、文学、歴史など幅広い知識を集積してきた経営者文化人である。 今回B賞を受賞することになった『【小野崎一徳写真帖】足尾銅山』(新樹社,2006年)は、足尾銅山開設以来の古河鉱業のお抱え写真家小野崎一徳の撮影した写真を、実は写真家小野崎一徳の孫にあたる著者が、小野崎家に残されたものを出版したというのではなく、実際は散逸していたり、未公開のまま埋もれていたものを、大変な苦労と時間をかけて収集し、博学な知識を駆使して解説をつけて出版したものである。本書は、足尾銅山史を、単なる文字だけで表現するのではなく、写真というビジュアルな側面から解明する新しい試みであり、かつ特記すべき貴重な労作である。本委員会は、本書がB賞にふさわしいと判定した。
2008年3月末日
■各賞受賞者 |